バーブについて語ってみる【Pert-1】
まえがき
今年度からバーブが話題になる機会が多くなるとおもいます。
バーブは、当社発祥と言っても過言ではない川づくり工法ですが、多自然(型)川づくり(1990年通達)を契機に考えざるを得なかった工法です。
バーブを知ることで、現在の川づくり(河道計画・設計)のありようが理解できるはずです。
30年かかりましたが、「多自然川づくり」における万能で最良の工法がバーブと考えています。
昨年度に「生物の生息・生育・繁殖の場としてもふさわしい河川整備及び流域全体としての生態系ネットワークのあり方検討会」(国交省)で開かれ、今年の5月、検討会を受けた「提言」が国交省から出ました。
この検討会は、「多自然(型)川づくり」の形を変えた「提言」です。今年度から提言が具現化され、環境目標の手段化が動きます。
たぶん、その際、バーブが手段として話題になると考えています。
バーブの発見。川づくりの合理性
バーブは、蛇行づくりの手段として”中洲づくり”の人工物として当社成田(退職)と岩瀬(現役)が独自に道内で試行して、発見したものです。
二人の発想も水制から発していたので、バーブは水制の一種と間違われることは想定内でした。でも根本の発想が違います。通りが良いのは水制ですから、水制の理解は必須です。
バーブは水制を正しく理解した先にある工法です。
「多自然型川づくり」(1990)の当初、水制は聖牛(せいぎゅう、ひじりうし)と呼ばれていた江戸時代の河川伝統工法として紹介されました。
現在、これらの河川伝統工法は、ほとんど話題になりません。
なぜ、話題にならなくなったのか、わかりますか?
私は、「河川伝統工法は力学設計が適用できない」ことがその理由とみています。すなわち合理的な工法ではないからでしょう。
この「合理的」という言葉は「多自然川づくり」のキーワードです。「合理的」とは「数式で表現できる」ということです。
「合理的」の反対は「経験則」です。
ということは、川づくりにかかわるならば、合理的な計画・設計がもとめられる、ということです。

この道50年。バーブ工の達人。