バーブについて語ってみる【Pert-2】

合理的とは三力が下地となった理論

合理的の下地は、三力といわれる「水(裡)力学、土質力学、構造力学」の知識です。この三力の知識無くして、合理的な説明はできません。

バーブは、「水力学、土質力学、構造力学」の知識を使った工法です。

皆さんは、「経験から川づくりにバーブを使っているのだろう」と思っているはずです。私は、最初から「水力学、土質力学、構造力学」を駆使し、機能する工法かどうかを考え、採用してきました。

どの現場のバーブも「水力学、土質力学、構造力学」で説明できることを意識してきました。その結果、バーブが不適と判断した場合はバーブを採用していません。

誰も三力の質問をしてきません。ですから説明もしてきませんでした。なぜなら三力の基礎知識がない人に説明するのは無駄だからです。

コンサルの河川関係者・組織運営者に、川づくりに三力知識が必要、との思考は無さそう、というよりありません。50年間コンサルを観察してきたので、概ねあっているはず。

組織内の先輩がそうであれば、後輩も右に倣うものです。これは「多自然川づくり」通達以前から問題とみていました。

そして前述の「提言」が今年度からはじまる手段化(具体化)でもネックになるはずです。ネックに気づかず(気づいても無視して)進めるでしょうから、「提言」の先行きは期待薄、という仮説を念頭に、今後の推移を見ていくことになります。

とにかく、川づくりに係わるなら、地道に「水力学、土質力学、構造力学」の知識を、コツコツと身につけることをおすすめします。

私は、どちらかというと文系の人です。ですから、簡単な演習問題を解くことで、三力知識の習得を意識してきました。当然、三力の知識は薄っぺらいものです。薄っぺらな知識でも、バーブの設計には十分使えます。

バーブという名称

アメリカの学会から帰ってきた河口さん(中村研出身、当時九州大、現在徳島大)から、「岩瀬さんの言っている工法は、アメリカではバーブという名称でしたよ」(2007年)、と言われました。スタングレゴリー教授の学会発表パワポをみると、そこにバーブの名称がありました(興味のある方は、申し出てください)。

「寄り州工」より「バーブ工」の方がそれらしいので、仮に「バーブ」と呼ぶことにしました。仮だった「バーブ」という名称で、現在に至っています。かなり知れ渡ってきたので、いまさら新しい名称は無理な気がしています。

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2024年7月5日私たちのお仕事,環境,研究,社会貢献,魚道,バーブ工

Posted by iwase