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細砂で構成された側岸部を有する 礫床河川の自律形成機構
河川技術論文集,第 27 巻,2021 年 6 月
細砂で構成された側岸部を有する
礫床河川の自律形成機構
THE SELF-FORMATION PROCESS OF GRAVEL-BED RIVERS WITH RIVERBANKS COMPOSED OF FINE SEDIMENT
泉 典洋1・岩瀬晴夫2・酒井尚孝3・野村圭司2
Norihiro IZUM, Haruo IWASE, Naotaka SAKAI and Keiji NOMURA
1 フェロー会員 PhD 北海道大学教授 土木工学部門(〒060–8628 札幌市北区13 条西8 丁目)
2 正会員 株式会社北海道技術コンサルタント(〒065–0043 北海道札幌市東区苗穂町4 丁目2-8)
3 非会員 新潟県(〒950–8570 新潟市中央区新光町4 番地1
1. はじめに
自然の状態で形成された河道には十分な洪水疎通能力がないのが普通である.河川は時折氾濫し,上流から運搬してきた土砂を周囲の土地(これを本論文では広義の氾濫原と呼ぶ)に繰り返し堆積させてきた.このような時折発生する氾濫は線的な河川が面的に土砂を堆積させるための重要なプロセスの一つとなっている.したがって,時折発生する大きな洪水の際の流量が,河道の疎通能力を超えるのは当然であると言えよう.
礫河床上への細砂の堆積によって自律形成される河道の平衡横断面形状
土木学会論文集B1(水工学) Vol.77, No.2, I_739-I_744, 2021.
礫河床上への細砂の堆積によって
自律形成される河道の平衡横断面形状
泉 典洋1・岩瀬晴夫2・野村圭司2
1フェロー会員PhD 北海道大学教授工学研究院(〒060–8628 札幌市北区北13 条西8 丁目)
E-mail: nizumi@eng.hokudai.ac.jp (Corresponding Author)
2正会員株式会社北海道技術コンサルタント(〒065–0043 札幌市東区苗穂町4 丁目2–8)
河川の中には,洪水疎通能力を向上させるために拡幅工事を行なったものの,その後の細砂の堆積によって河道断面が減少してしまう河川が少なからず観察される.このような細砂の再堆積による河道閉塞は,洪水を安全に流下させるという河川の重要な機能を維持管理する上で深刻な問題である.本研究では,泉・Parker3) が提案した,河床を礫,河岸を細砂で構成された自律形成河道に関する理論を,前述したような細砂の堆積によって河道が閉塞するプロセスに適用することで,礫河床上への細砂の堆積による自律形成河道の平衡横断面形状について,理論的な観点から説明を試みたものである.
全文を読む:礫河床上への細砂の堆積によって自律形成される河道の平衡横断面形状(PDF:794KB)